2015.05.28 12:34
「いにしえの日」は「イェモートオーラム」という言葉ですが、単純に「過ぎ去った日々」ではなく、神の尊い御言葉が歴史において成就された、痕跡のある過去を指しています(申4:32,イザヤ46:9,詩77:5-6,11-12,78:1-8,143:5)。まさに、人類を救おうとされる神の約束が成就した、御わざの歴史です。原語的に見ても「いにしえの日」は、相当に広範囲な意味が含まれており、神の救いの御わざが進められてきた過去の時間全体を包括的に示した言葉と言えます。「いにしえの日」は、もともと「日」を意味するヘブル語の「ヨーム」の複数形「イェモート」と、「永遠」を意味する「オーラム」の合成語である事からその歴史的範囲は太古にまでさかのぼる事が出来ます。
具体的には、いにしえの日にエデンの園で起こったアダムとエバの堕落に始まり、カインによる人類初の殺人、その後の子孫たちの不信仰な行動、罪がはびこっていたノアの時代の有様、バベルの塔を建てた人間の傲慢、アブラハムと交わした松明の契約(創世記15章)、エジプトでの430年間に渡る奴隷の時代、そして奴隷の生活からの解放とエジプト脱出、その後待ち受ける荒野での40年に及ぶ放浪生活など、それらすべてがモーセが念頭に置いてイスラエルの民に向けて語った、覚えるべき「いにしえの日」でした。堕落した人間がエデンの園から追い出されてから今日まで、神の前に実に多くの罪を犯し続けてきたにもかかわらず、神は絶えず救いの御わざを進行させてきたのです。
このような、神の熱い愛と涙の歴史(御わざ)に刻まれた歳月がまさに「いにしえの日」です。この「いにしえの日」を指して、エレミヤは「いにしえの道」、「良い道」と述べています(エレ6:16)。これは、メシアが来られるという約束を信じ、その御言葉を成就させていく信仰の路線であると同時に、善を守るために如何なる苦難をも受容しつつ、悪に立ち向かって歩む苦難の道でもありました(ヘブル11:36)。しかし、それら苦難の後に備えられているのは、真の平安が約束された祝福の道でした(エレ6:16)。創世記の系図の中には、これらの内容がすべて含まれています。
今日、私たちが覚えるべき、「いにしえの日」の出来事、良い道、神の熱い愛と涙と心の痕跡が、この創世記の系図の中に溶け出しているのです。
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