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-ただ聖書のみによって聖書を解釈した、最も正しく、真実な研究の産物

-膨大な聖書の内容を救済史的に一貫して緻密に貫く展開

-ヘブル語、ギリシャ語聖書の原文に基づいて徹底的に正統した言語の解釈

-互いに会話するような親近感と臨場感あふれる明瞭な文体



 本書は2008年12月に著者が原稿を完成しておいたもので、2014年12月17日、著者が天国に召された後に与えられた遺作の中の一つだ。


 アブラハムの100年の人生は天国を望んでいる信仰の持ち主たちの生き方を教えている。従ってアブラハムの100年の人生の旅路は、まるで天国の地図と同じだ。アブラハムが歩んでいった信仰の旅路をしっかりと悟り、深く覚え、その足跡に従って正しく神様を愛し、信じ、従順する時、イエス・キリストに出会うことができる。


アブラハムの一生の路程

 アブラハムの一生の旅路は大きく10ヶ所に要約できる。アブラハムは偶像崇拝が蔓延していたカルデヤのウルで生まれ(創11:26、ヨシュア24:2、15)、ハランを通り過ぎて75歳に神様が備えてくださった約束の地カナンに入った(創12:1-5)。その後、アブラハムは175歳を暮らして死ぬまで100年間の信仰の人生を過ごした。時には人間の弱さによってしっかりと信じることができない時もあったが、神様の強い導きを体験し、100歳の時にイサクを得(創21:1-5)、その息子をモリアの山で燔祭として捧げ、神を恐れる者として認められた(創22:1-19)。


アブラハムと結ばれた7の契約

 神様はアブラハムがカナンの地に入ってから100年間、アブラハムと7回に渡って契約を結ばれた。アブラハムと結ばれた7回の契約は全て神様の御国を建てていく過程という共通点を持っている。神様はアブラハムに「地」と「子孫」を約束され、神様が語られる命令と祝福に従順するアブラハムを通して神様の「主権」を現わされた。アブラハムの7回の契約はイエス・キリストによってこの世に臨在される神の御国を建てるための青写真であった。


アブラハムが受けた10の許し

 一般的に信仰に対する報いとして許しが与えられると考えがちだ。しかし、アブラハムの一生の旅路の中でアブラハムが受けた神様の許しは信仰よりも先だった。アブラハムの従順によって許しが与えられたのではなく、まず先に神様の許しがあったからこそアブラハムは従順することでできたのである。

 神様からアブラハムに許された御言葉は多くあるが、これらを10の許しとして整理することができる。アブラハムに与えられた10の許しは、当時の状況から見ると全てが不可能なことであった。しかし、神様からの許しが与えられた時、その許しは必ず成就される。10の許しは救済史的にイエス様が語られた八つの幸いとも繋がる。アブラハムが私たちの信仰の父であり、イエス様が語られた八つの幸いがイエス様の当時だけではなく、今日私たちのための御言葉であるならば、10の許しと八つの幸いは私たち信徒が受けるべき神様の祝福なのである。


アブラハムが受けた10命令

 神の御国を建てるのに最も大事な土台は「完全なる従順」だ。アブラハムは神様から許しを受け、その許しを信じながら従順した。国を出て、親族に別れ、父の家を離れなさいと言う命令に従順してカナンの地に入った後、愛する息子イサクを燔祭として捧げなさいという従順しがたい命令にも従順することによって「神を恐れる者」として認められることとなった。

 アブラハムが従順した10の命令はアブラハム個人の従順に止まるものでなく、今日の信徒が持つべきの従順の姿であり、小羊が行く所にはどこへでも従って行くシオンの山に立つ144,000人が持たなければならない信仰の姿勢を表している(黙14:1-4)。


アブラハムの祝福が私たちの祝福

 アブラハムがカナンの地で歩んだ100年の旅路は、霊的にアブラハムの子孫となった私たち信徒が歩まなければならない信仰なのだ。アブラハムの信仰の屈曲にも関わらず神様の許しが成されたように、私たちの信仰が弱くなり未熟なことがあるとしても、神様の許しは必ず成就される。アブラハムが受けた10の許しと10の命令を見ながら、アブラハムが受けた祝福が、今日の私たち信徒の祝福とならなければならない(ガラ3:9,14)。


 

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