テラ-滞留する、遅滞する

2019.10.19 21:41

Editor 閲覧数:808

 5890bad54de0f008495f7087bcc3e668.jpg


 テラの名前の意味は「滞留する」、「遅滞する」です。彼はアブラハムと共にカルデヤのウルから離れ、カナンの地を目指して旅立ちました。しかしハランに留まり遅滞するうちに(11:31-32)205歳となり、アブラハムより40年早くにハランで死にました。彼はアダムから数えて19代目で10代目のノアと128年間同じ時代を過ごしました。しかし、128年間ずっとノアと同じ場所で過ごしたことを意味するのではありません。


                         ()テラは偶像崇拝者でした(ヨシュア24:2-514-15)

 彼はノアの子孫、セムの子孫、エベルの子孫すなわち「信仰の継承者」として、立派な信仰を遺産として受け継いだ正統的な家柄から生まれた者でした。しかし、テラの信仰は先祖を誇るだけで、先祖が残してくれた信仰を売りさばき、偶像崇拝者となり、信仰のルーツまで完全に見失うほどになってしまいました。ヨシュア242節では確かに「アブラハムの父、ナホルの父テラは、昔、ユフラテ川の向こうに住み、みな、ほかの神々に仕えていたが」と言われています。

 

      ()テラは偶像の町カルデヤのウルを離れましたが、ハランに留まってしまいます。


創世記1131 テラはその子アブラムと、ハランの子である孫ロトと、子アブラムの妻である嫁サライとを連れて、カナンの地へ行こうとカルデヤのウルを出たが、ハランに着いてそこに住んだ。


創世記1127~32節のテラの系図において、主な内容はアブラハムがカルデヤのウルを離れてカナンへ向かうために旅立つことです。神がアブラハムを用いるために、バベルの塔を建てた罪の現場から完全に分離し、脱出させる場面は躍動的なドラマを見ているようです。

 神はカルデヤのウルにいたアブラハムに、栄光の神として現れ「あなたの土地と 親族から離れて、あなたにさし示す地に行きなさい」と命じられました(使徒7:2-3)。テラはアブラハムを通じてこの命令を聞き、率先してアブラハムを連れてカルデヤのウルを離れました(11:31)。しかし彼は、カナンにたどり着かずハランに留まり、205歳で死にました(11:32)。「遅滞する」というテラの名前の通りになったのです。テラとアブラハムがハランで遅滞している中で、神はアブラハムに再び現れて「あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい」と命じられました(12:1)。アブラハムはこの命令に従いハランを離れ、ついにカナンに到着しました(12:5)。ここから神の新たな救いの御わざが、アブラハムを中心として成し遂げられるようになります。

XE Login