2015.10.28 08:58
カインの後裔の罪悪とされた文明の歴史は、レメクで中断され、再びニムロデを通じてバベルの塔の建築運動となって表れましたが、神の「散らし」によって水の泡と化しました。しかしカイン系列の歴史はそこで止まらず、アブラハムの肉の子イシマエルやエサウによって、またも表れる事になります。
イシマエル-野ろば人生
アブラハムのつかえめハガルが産んだ息子イシマエルは、「野ろば」のような生涯を送るようになると言われています。創世記16章12節に「彼は野ろばのような人となり、その手はすべての人に逆らい、すべての人の手は彼に逆らい、彼はすべての兄弟に敵して住むでしょう」と記されています。
この御言葉は、イシマエルがやがてアブラハムの約束の子であるイサクや、その後裔たちと常に敵対しながら生きる事を予告しています。ここで彼の住むところは「東方」であると言われていますが、この「東方から」を直訳すれば「面前から」という意味になります。英語聖書RSVでは、この箇所を彼のすべての親戚たちに「対抗して(against)」と訳しています。したがって、イシマエルがすべての兄弟たちの「東方」に住むということは、彼がカインとニムロデのように、罪悪の後裔となって神に敵対し、約束の民を苦しませる道に立つことを意味します。ニムロデが力ある狩猟者になって人々の上に立ち神に敵対したように、イシマエルも野生のろばのように人たちに暴力を振るい、苦しませる者となったのです。特に「その手はすべての人に逆らい、すべての人の手は彼に逆らい」という内容からも、彼が行く所々で絶えず紛争や争いや戦争を起こす者であった事が分かります。その手は絶えず神の民に向かって上げられ、神の御心に立ち向かったのです。彼はその一生が敵対心で溢れ、多くの人々の敵となって逆らう生活を送りました。「すべて」の人々がイシマエルを嫌がる事によって、彼の周りに寄りつく者が誰一人いなかったのです。そのような人生はいかに孤独で気の毒で哀れなものでしょうか(エレ17:6)。
実際イシマエルは幼い時に弟イサクが生まれると、彼を「からかう」ようになり、歩み始めました(創21:9)。イシマエルは「エジプトの国の女」と結婚することによって(創21:21)、ニムロデに連なる血統と結びつく事になりました。創世記10章6節に、ノアの子ハムが「クシとミツライムブテとカナン」を産んだ事が記されています。「ミツライム」は、今日のエジプト人の先祖にあたります。またクシはニムロデを産みました。このように、イシマエルがミツライムの子孫であるエジプトの国の女と結婚することによって、彼はニムロデの系列と親しい間柄となったのです。今日の中東で絶えず戦争を起こしながら「世界の火薬庫」として全世界の不安を加重させる人たちも、イシマエルの後裔である人たちです。
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