2015.07.16 09:40
ではここで、創世記5章と11章の系図の記録が正確無誤な年代記であるとする根拠について整理してみましょう。
それに対する根拠は以下の3つにまとめる事が出来ます。
第1に、創世記5章と11章の系図は、20代にわたる族長たちの出生と子を生んだ年齢、そして彼らがこの世で生きた年齢を正確に記録しています。このような正確な記録は、他の系図にはない最も大きな特徴であり、それと同時に、これらの記録に対する信頼性をもたらします。この20代の族長たちの記録は、確かな歴史の記録書として記されたものに違いありません。そうでなければ、ここまで事細かに年代を記録する必要がなかったはずです。
第2に、創世記5章と11章の中で20代の族長たちの順序が聖書の他の系図の順序と一致しています。創世記5章と11章の系図は、歴代志上1:1~4と、歴代志上1:24~27の系図と比較してみると、まさに系図の順序が正確に一致している事が分かります。
歴代志上1:1 アダム、セツ、エノス、
歴代志上1:2 カイナン、マハラレル、ヤレド、
歴代志上1:3 エノク、メトセラ、
歴代志上1:4 ラメク、ノア、セム、ハムとヤベツ、
歴代志上1:24 セム、アルバクセツ、セラ、
歴代志上1:25 エベル、ベレク、ルウ、
歴代志上1:26 ゼルク、ナホル、テラ、
歴代志上1:27 アブラムすなわちアブラハム
また創世記5章と11章に出てくる系図は、ルカによる福音書3章に出てくる、イエスの系図とも一致します。ただ、ルカによる福音書3:34〜38では、一人だけ違いがあるのを見つける事が出来ます。それはアルパクサデとサラ(シラ)との間に、創世記11章の系図にはない「カイナン」がいるという事です。しかし、この「カイナン」が入るか否かで、年代の計算に支障をきたす事は何もありません。
ですから、年代間に空白があるという正確な証拠がない限り、ヘブル語の原文に基づいて年代の計算をする方が、歪曲される可能性の高い歴史資料や推定に基づいて計算するよりも、はるかに信憑性の高いものであると言えます。
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