2015.06.30 09:37
創世記に出てくる10の系図は、すべてヘブル語の「トーレドート」という言葉から始まります。この言葉は、「由来、系譜、系図、すえ、略伝」などと翻訳されています。しかし、この10のトーレドートのうち、創世記の5章1節だけは、トーレドートの前にヘブル語で「書」を意味する「セフェル」という言葉が記されています。すなわち「セフェル・トーレドート」です。
創世記5:1「これはアダムの系譜である」(新共同訳)
この御言葉にある「系譜」を漢字で読むと「つなぐ、ケイ(系)」、「書く、フ(譜)」となります。その意味は、「先祖からの血統や家系の歴史を記した書、人の血縁関係や学問・思想などの系統の順序を示した記録」という事になります。上述したように「系譜」をヘブル語で表現すると、「セフェル・トーレドート」ですが、この「譜」に当たる「セフェル」はヘブル語で「文字」、「手紙」、「巻物」、「本」などの意味を表す言葉です。
では、他の系図では、ほとんどが「トーレドート」ですが、創世記5章1節の系図には「セフェル・トーレドート」が記されている事は、一体何を意味するのでしょうか。それは、創世記5章のアダムの系図が、単なる人名の羅列ではなく、多くの事柄が記録されている「本」である事を強調するためです。これ自体が一つの完成した書物であり、救済史的な観点では、一種の法的効力を持つ、神の「契約の文書」と等しいものです。
ところで、この第1の人アダムの系図で記されている「セフェル・トーレドート」という言葉は(創5:1)、新約聖書のマタイによる福音書1章に登場する第二のアダムで(Ⅰコリ15:45-47)、イエス・キリストの系図に、もう一度出てきます。
マタイ1:1 アブラハムの子であるダビデの子、イエス· キリストの系図。
創世記5章の系図が、単に「トーレドート」ではなく、「セフェル・トーレドート」(系図の書)と記されているように、マタイによる福音書もまた、ゲネセオス(系図)ではなく、ビブロス・ゲネセオス(系図の書)と記されています。
番号 | タイトル | 閲覧数 |
---|---|---|
106 | カイン系列「レメク」の歩みⅤ - 闘争と殺戮の文明を伝授したB | 661 |
105 | ナホル-鼻息を吹き付ける | 635 |
104 | アブラハムの同時代の年代Ⅰ | 620 |
103 | エベルとユフラテ川 | 610 |
102 | 神に信頼するまことの信徒 | 607 |
101 | 貪欲な人、ナホル | 599 |
100 | ノアが生きた洪水前の世は、完全に堕落した世 | 588 |
99 | アブラハムの二度目の召し | 582 |
98 | エベルのエブラ王国建設 | 582 |
97 | セムの長男<エラム> | 579 |