2015.11.13 09:20
アダムの語源は、アッシリア語の「アダム」から由来し、「造る、生ずる」という意味があります。人間は決して創造主ではなく、「創造物、被造物」にすぎないということです。アダムはちりで造られました(創2:7,3:19,23)。「ちり」はヘブル語で「アファル」で、泥ではなく「ちり」を意味します。神の息がない人の存在の根源はちりに過ぎません(創18:27,ヨブ4:19,33:6,詩103:14,伝3:20,イザヤ64:8,Ⅰコリ15:47)。
Ⅰ.アダムは9代目レメクの歳、56歳まで生存していました。
アダムとエバは堕落後、堕落前の世界の様子や神のそばで仕えた幸いな日々を思い起こし、子や孫たちにエデンの園での生活や、そこでの貴重な信仰の体験について詳しく話して聞かせたはずです。したがって、アダムから直接話を聞いた可能性があるのは、2代目セツから9代目レメクまでだということになります。彼らは、エデンの園の主人公であったアダムの時から創造本来の姿、すなわち永遠の命の世界があったのに、サタンの策略と不従順によってその楽園を追い出され、永遠の命を失ってしまったこと、しかし神は、そのような者たちにも救いの約束をして下さったことなどを聞きながら、育ったはずです。アダムはエデンにいた張本人として女のすえに関する確かな福音を受けて(創3:15)、子孫たちにその福音を継続的に伝えたはずです。
真にその福音はアダムと全人類にとって、一つの大きな希望でした。誰よりもアダムはその約束を受けて「女のすえ」が来ることを信じていました。それはアダムが最初の約束の直後に(創3:15)、神が与えた妻の名を「エバ(命)」(創3:20)と名づけたところからも、うかがい知ることが出来ます。アダムはエバが「すべての生きた者の母」であると告げました。これは「すえ」に対する約束を信じて、命をもって死を征服する永遠の日を待ち望んだ最初の信仰告白です。このようにアダムは神の約束を信じ、自分の信仰告白として、彼女を「エバ」と名づけました。アダムは妻の名を呼ぶたびに、神から与えられた約束をより確信するようになったはずです。
アダムはこのようにエデンの園にいた張本人として、エデンの園の実際とそこで与えられた約束に対する確かな証人でした。またエデンから追放される前に神が直接着せてくれた皮の着物(創3:21)は、創世記3章15節の約束を保証する証票でした。これはアダムにとって自分の命よりも大切なものでした。皮の着物を着せられたのは、犠牲による救いの原理を示されたことであり、これから堕落した人類の贖いがどのように成し遂げられるかを暗示したことです。なぜなら皮の着物を備えるためには必ず一つの命の犠牲がなければならないからです。これは将来起こるべき、イエス・キリストの十字架の犠牲を予表したものです。アダムは約束の保証として与えられた皮の着物を一生涯大切に保管しながら、約束のすえが来て必ず蛇のかしらを砕く日が来ることを確信し、それを彼の子孫に証し語り伝えたことでしょう。
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