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松明の契約の意味
 旧約に記録されている多くの契約の中で、最も具体的で明確な契約が創世記15章の「松明の契約」である。歴史的に見れば、カナンの地の征服を通したイスラエルの回復を示しているが、究極的には堕落した人類の失われた「地」と、その国の「民」を回復するという重大な意味が含まれている。

創世記15:13-16
『時に主はアブラムに言われた、「あなたはよく心にとめておきなさい。あなたの子孫は他の国の旅びととなって、その人々に仕え、その人々は彼らを四百年の間、悩ますでしょう。しかし、わたしは彼らが仕えたその国民をさばきます。その後かれらは多くの財産を携えて出て来るでしょう。四代目になって彼らはここに帰って来るでしょう。アモリびとの悪がまだ満ちないからです」』

 松明の契約で神は、アブラハムの子孫がエジプトに入り異邦の地で奴隷生活をする期間を「400年」であると言われた。また、アブラハムの子孫がカナンの地に「4代目になって」帰って来ると言われた。

系図上では何代目にカナンの地に戻ってきたのだろうか?
 アブラハム - イサク - ヤコブ - ヨセフ - エフライム - ベリア - レセフ - テラ  
 タハン - ラダン - アミホデ - エリシャマ - ヌン - ヨシュア (歴代上7:20-27)
 省略された代数のないヨシュアの系図を基準として見ると、事実上14代目にカナンに帰って来たと聖書に記録されている。では、「4代目に帰って来る」という神の御言葉はどのように成就したのだろうか?

松明の契約を成就する4代は誰か?
 神は「ダビデ」を王として油を注がれるとき、外見ではなく心を見られた(サムエル上16:7)。契約を成就させる4代の人物は皆、神の御心にかなう信仰の者たちでなければならない(使徒行伝13:22)。すなわち、「4代」とは神の救済史的経綸を成就させる特別な代数なのである。
1代 :ア ブラハム - 神が選ばれ契約を結ばれた人物である。
2代 : イサク - アブラハムが伝承した契約の意味を正確に受け取り、信仰の代を引き継いだ。いけにえを捧げるために使う木を背負って山に登るほど力があった青年イサクが、モリヤ山の上で自分をいけにえとして捧げようとする父アブラハムと神を完全に信頼し、黙って従順する姿を見てもイサクの信仰を知ることができる。

ローマ9:7-8
『また、アブラハムの子孫だからといって、その全部が子であるのではないからである。かえって「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるであろう」すなわち、肉の子がそのまま神の子なのではなく、むしろ約束の子が子孫として認められるのである。』

3代 : ヤコブ - イサクの息子エサウとヤコブの中で、長子の権利と祝福を得たのはヤコブである(創世記25:22-34, 27:5-40)。彼は松明の契約に対する確かな信仰を持って人生を歩んだ。神は、「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である」と宣言された(創世記28:13)。
4代 :ヨ セフ - ヤコブには12人の息子がいた。この息子たちがイスラエルの12部族となる。ヤコブの後に信仰の代を引き継いだ人物、すなわち4代目にあたる人物は誰なのか?

歴代上5:1-2
『イスラエルの長子ルベンの子らは次のとおりである。― ルベンは長子であったが父の床を汚したので、長子の権はヨセフの子らに与えられた。それで長子の権による系図にしるされていない。またユダは兄弟たちにまさる者となり、その中から君たる者がでたが長子の権はヨセフのものとなったのである

 「長子の権」はヘブル語で「長子の権利、相続権」という意味である(創世記25:31-34)。アブラハム、イサク、ヤコブと引き継がれてきた長子の権が、ヨセフにあるということを確かに証しする御言葉だ。ヘブル11章は信仰の章と呼ばれているが、8節から21節まではアブラハムから始まり、イサク、ヤコブと続く信仰の3代を記録している。その次に登場する信仰の人物が「ヨセフ」であり、ヤコブの12人の息子の中で唯一、ヘブル人への手紙11章に登場している人物だ。

ヘブル11:22
『信仰によって、ヨセフはその臨終に、イスラエルの子らの出て行くことを思い、自分の骨のことについてさしずした。』

ヨセフの骨を通して表された「4代」の成就
 「四代目になって帰って来る」(創世記15:16)という約束は、アブラハム-イサク-ヤコブに続き、4代目であるヨセフを通して成就された。しかし、ヨセフは110歳の時にエジプトの地で死んでしまった(創世記50:26)。では、4代目にカナンに帰って来るという預言は、どのようにして成就したのだろうか?

※骨となってエジプトで入棺されるヨセフ (松明の契約 276年目)
 ヨセフは自分が死んだ後、自分の骨をエジプトの地に埋葬させず、棺に納めて置かせ、イスラエルの民と共にあるようにさせた(創世記50:24-25)。

※エジプトを出るヨセフの骨 (松明の契約 636年目)
 ヨセフの遺言から360年の月日が流れ、イスラエルの民はエジプトを脱出する。モーセは、ヨセフが子孫たちに誓わせていたことを思い出し、ミイラになったヨセフの棺を運び出した(出エジプト13:19)。このエジプトを脱出した出来事は単なる民族の解放ではなく、神が松明の契約を成就された出来事であった。

※カナンの地(シケム)に葬られたヨセフの骨 (松明の契約 692年目)
 ヨセフの骨は荒野40年とカナン征服期間である約16年を経て、B.C.1390年にシケムの地に葬られた(ヨシュア24:29-32)。彼の死体が防腐処理されて腐らなかったように、彼の生きた信仰は数百年の間、腐ることがなかった。アブラハムとイサクとヤコブは、肉体的には死んだ者たちであったが、神は彼らの生きている信仰を認められ、「生きた者」と呼ばれた。ヨセフも肉体は死んでしまったが、信仰によって「生きた者」だ。こうしてヨセフは、アブラハムから始まった信仰の第4代目として神の契約を完成させたのである。彼の骨は、死んで渇き果てた単なる骨のかけらではなく、永遠に生きておられる神が契約に誠実であられることを証しするための印であった。神の御言葉は、どんなに歳月が流れようとも必ず成就する。そして、イエス・キリストを信じる信徒たちに与えられた天国の希望も必ず成されるのである。

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