創世記の10の系図

2015.06.26 09:48

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 聖書の系図の大部分が創世記の中に収められています。そのため、創世記は「系図の書」、「系譜の話」とも呼ばれています。


 創世記は聖書66巻の始まりの書であり、人類の始まりと根源を明らかにしつつ、敬虔な子孫一人ひとりの背後で御わざを成さる神の摂理を啓示している書です。また、創世記はアダムからヨセフの死まで、約2300年あまりもの巨大かつ膨大な歴史を50章の分量の中にすべて収めています。実際、神の摂理をたった50章で、しかも細密に記録する事は不可能です。そこで神は、約2300年という途方もなく長い年月の中で世代ごとになされた贖いの摂理を、「系図」という形に圧縮して記録されました。
 創世記に表された系図の焦点とは何でしょうか。それは、神が敬虔な子孫を通して人類の救いを完成させるまで、その約束を一点一画も漏らさずに成し遂げて下さる神の真実です。

このように、創世記の系図は10の「系図」(トーレドート)で構成されています。1~5番までの系図は創世記の第1部に、6~10番までの系図は創世記の第2部に当たります。また、それぞれの系図から序文を開く「トーレドート」は、系図を紹介する場合と新しい物語を始める場合の2つのパターンで表われます。これらの創世記の構造を通じて、私たちは以下のような重要な教訓を得る事が出来ます。


 第1に、創世記の系図は、堕落と裁きと回復の御わざを知らしめるものであるという事です。特に創世記5章の系図におけるノアは、アダムの堕落以降の、洪水の裁きから人類を回復させるために立てられた救いの中心人物でした。また、創世記11章の系図におけるアブラハムも、神の御わざに挑戦しようとしてバベルの塔を建てた人々が神の怒りを買い、地の表に散らされるという裁きの中で、神に選ばれた救いの中心人物として描かれています。
 第2に、創世記の系図が救いの御わざを担うべき中心人物であるアブラハムに集中しているという点です。創世記に記された10の系図は、アブラハムを中心にして前後で5つずつ連結されています。
 第3に、創世記1〜11章は聖書全体の序論であると共に、救済史の始まりと終わりがすべて含まれているという点です。したがって、この太古史に刻まれた系図は、単に一個人の家系図ではなく、救済史の骨格を提示しているものと言えます。

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