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 教界の偉大なる学者であり、献身的な牧会者としても知られている朴潤植牧師の最近の著書、「永遠に消えない契約の灯火」は、イエスの系図を中心に、イエスの生涯について、誕生予告から始まり、先在、復活、昇天、審判、永福、永罰に至るまでの御わざをまとめた著書である。この本は、創世記からヨハネによる黙示録までの聖書 66冊を網羅し、イエスの生涯と彼にかかわる歴史的事件を年代ごとに整理した創意的方式で綴っている。


 著者が序文で言及しているとおり、マタイによる福音書1章1節の「アブラハムとダビデの子孫イエス・キリストの系図」という言葉は一時代を終わらせ、新しい時代を告げる宣言である。この宣言は神の救済史が律法時代から恵みの時代、すなわちイエス・キリストによる福音時代へと転換される新紀元を意味する。著者はこの宣言の中、「アブラハムとダビデの子孫イエス」という短い聖句に要約された神の救贖の御わざを系図に基づいて紐解いている。


 著者の歴史観は世俗史と教会史を区分することなく、人類の歴史全体を神の統治権に含め、世に対する神の主権を強調したパンネンべルグ(Wolfhard Pannenberg)の普遍史的観点と人類の歴史全体を神の救購と回復の経綸に含めたオスカー・クルマン(Oscar Cullmann)の救済史観(Heilschichte)と相通じるところがある。

 しかし、著者朴潤植牧師は自己の聖書解釈と年代記的理論及び分析を既存の神学者の理論や限界に依存して述べようとせず、ただ聖書に根拠して独創的に述べている。


 その第1巻「イエス・キリストの系図Ⅰ」はアブラハムからダビデ王まで14代の系図を紐解き、これから出版される「イエス・キリストの系図Ⅱ、Ⅲ」のシリーズはダビデからバビロン捕囚までの14代の系図を紐解くものと予想される(マタイ1:17)。

 この本の特徴は、第一、神学書ではなく、聖書を中心にイエス・キリストの生涯と神の救済史を照し明したところにある。すなわち啓蒙主義時代から始めて20世紀中期に至る過程の中で、一時、キリスト論に対する正統神学を脅威した「歴史的イエスの研究」と、それに準ずる進歩的神学理論を排撃することはもちろん、「歴史的イエス」を批判して福音的に評価される理論にも頼ることなく、ただ新旧約聖書に基づいてこの本を綴ったところである。したがって、この本は既存の神学的な性向や聖書解釈上のすべての問題の素地を完全に排除した著述である。

 第二、独創的で細かい年代記図表が添付された。聖書年代記は多くの研究者たちが、自己の著述と学術論文で独自的に研究した者であると主張しているが、実は新たなところが特になかった。

 しかし、著者が提示した「一目で分かるイエス・キリストの系図42代」とダビデの逃避行路とダビデの家系図は、①構成、②ヘブライ語とギリシャ語の原文を遂一提示したところ、③参照聖句を新たにみつけたところ、④ルカにによる福音書3章の系図に記録された知られていない人物に対する独創的な調査が行われたところが新しい。

 第三、必要に応じて遂一ヘブライ語とギリシャ語の原文を参照した。

 第四、文章が簡明で、すべての主張に聖書を直接引用したり、聖句を参照したために、難しい年代と絡まった系図も理解しやすくなっている。この著述は(救済史シリーズ1-3巻)イエスの生涯と世に対する神の救購の経綸をつなげて、分かりやすくして理解させるだけではなく、聖書全体を一気通貫する役割を担っている。

 契約の灯火はイエス・キリストであり、この灯火は今も十字架の上で燃えている。この灯火が消えないのは、これは世が造られる前から定められた神の救購の経綸に含まれた救いの御わざであり、神の契約であるからだ。著者はこのような神の救済史的経綸をマタイによる福音書1章の系図の中から見つけ出し、簡単明瞭な方法で私たちに提示している。すべての読者に益をもたらせる本であると確信して推薦するのである。



バプテスト神学大学校 総長


ド・ハンホ



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