学者としての最大の喜びは、良い本に出会うことです。
良い本は、良い著者に出会うことでしょう。本と著者は決して分離する事のできない、一体の関係です。良い本の中には著者の思想だけでなく、著者の濃縮された人生すべてが溶け込まれているわけです。「永遠に消えない契約の灯火」を読んでいると、著者である朴潤植牧師が、神様の御使いとして歳月を重ねていく上で、ますます盛んに活動する姿が描かれるようで興味が湧いてきます。
著者は救済史的経綸の観点から、系図に含まれた各人物たちが置かれていた時代の歴史的、政治的、経済的、宗教的な状況を見せています。そして、このために各人物の名前の原語的な意味、彼らの名前に現れている性格と行い、彼らの時代で担当した役割が窮極的にイエス・キリストの救いの御わざをどのように成し遂げていくのかを実に興味深く、豊かに説明しています。そして、このような救済史的経綸が現代を生きている私たちの救いと、どのように直接係わっているかを説き明かし、教訓しています。
私たちの唯一の救い主であるイエス・キリストがこの世に来られるまで、神様の救済史の過程がこの人物たちを通して、まるでパズルを組み合わせるように、一人ひとりが担当しなければならない救済史的な役割がどんなに正確に位置づけられているのか、またどうすれば全てのことがこのように一寸の誤差もなしに進行されているのかが不思議な限りです。
2007年度には「創世記の系図」を、2008年度に「忘れていた出会い」を出版し、教界に感動の嵐を巻き起こしました。この度、2009年度に著者は‘神の救済史的経綸の中から見るイエス・キリストの系図’という副題で、「永遠に消えない契約の灯火」という救済史シリーズ第三巻を著述して、また一度読者たちを感嘆させています。何よりも、著者の福音の救済史に対する情熱と、イエス・キリストの系図から生命力溢れる救済史を読み出そうとするその真面目な真心には驚かざるを得ません。80年を超える人生の苦難と逆境を、ただイエス・キリストの愛をもって勝利した、著者の巨大な人格が一つの談論に昇華したようです。
本書は最初から最後まで、ただイエス・キリストだけに向かっている老使徒の熱い信仰の炎が炎々と燃え立っています。この本を手にしたすべての読者たちに、救済史を通して信仰の実体が何なのかを正確に説明しています。
一言で言うと、この本は牧会と神学の出会いであり、現場と理論の出会いであり、御言葉と学問の出会いであります。現場に偏った御言葉は、聖徒たちを動かすことはできるかもしれませんが、時には正しい神学から離れて誤った方向に歩んでいくようにする弊害もあります。一方、理論と研究に偏った神学者たちの学問は、実際に聖徒たちの暮らしを変化させる現場性が欠けたりします。
朴潤植牧師の本は、このような極端的な問題点を解決しながら、神学が溶け込んでいる牧会、牧会が溶け込んでいる神学を追求しています。これらの中心には、神の救済史的経綸と、その中に含まれている大いなる神の愛が固く据えられています。この本は、御言葉が溶け込んでいる神学、御言葉が溶け込んでいる牧会はどのようなものであるべきか正確に教えています。彼のすべての神学と牧会は、徹底的に神の救済史的な御言葉に深く根付いています。人本主義的な愛を排除して、一生涯神の御言葉だけを、聖書中心に帰る真の信仰改革を全世界に訴えています。
著者は生涯、千回以上聖書を読んだことでよく知られています。彼の生涯が聖書を通した深い黙想と、神様との交わりによって綴られなければ、決してこのような御言葉に満ち溢れる本を著述することができないことをはっきりと見せています。
本書は、全てを徹底的に神様の御手に委ねています。信仰深い人物たちの姿も、不信仰者たちの悖逆と失敗の姿も、すべて神様の主権の中にあることを表しています。サタンのあらゆる妨害や悪の力、不信仰者たちの不信と悖逆にもかかわらず、神様の救済史的経綸は決して挫折されたり中断されることなく綿々と続いてきていて、最後にイエス・キリストが来られることで完成されたことを、荘厳な大河ドラマよりもっと雄壮な筆記体で大胆に描き出しています。
系図に含まれた人物たちの名前と聖書の箇所、簡単な説明が付けられた図表、系図の人物概要、士師時代の年代表、ダビデの逃避行路、ダビデの家系図などを作ることで、系図に関するすべてのものを一目で理解できるようにしています。
今までどんな神学者や牧師もイエス・キリストの系図に含まれた救済史的経綸を通して、歴史を遡りながら追跡する作業を試みたことはありませんでした。
こんな偉大な発想をもって聖書を研究したことは、この本を著述した著者が他の人たちには見つけられない、非凡で深い霊的な洞察力を持っていることを物語っています。
著者の生涯における信仰の道のりが圧縮されているこの尊い本が、イエス・キリストの十字架の血潮の福音を全世界に述べ伝えていくすばらしい通路となり、世界的な救いの御わざのために用いられることを切に願っています。この本の結論で“神様の熱い熱心は契約の灯火とともに続いていくでしょう”とあるように、読者たちも著者のイエス・キリストの救済史に関する熱心と共に歩むよう、心から切に願っております。
前 韓神大学校 大学院長
現 国際教会宣教団体連合会 代表
国際クリスチャン学術院 院長
エマオ神学研究院 総長
イェ・ヨンス