本書の著者朴潤植牧師は、「創世記の系図」に引き継いで救済史シリーズ2巻として本書を出版するようになりました。この諸本は著者朴潤植牧師の信仰の結集であり、生涯をかけて研究してきた聖書研究の結晶体であると言え、自分が持っている、ただイエス・キリストによる救済史的信仰をすべての人々に知らせ、救いの道に導こうとする熱い宣教的熱情の中で著作された大切な産物であると信じます。
今日の人本主義の思想が膨脹するにつれ、神の領域から離れた人間の自由は啓示の御言葉である聖書にまで矢を向けるようになりました。聖書から離れた現代的な思想がこの時代を征服して科学的に証明されたことだけを偶像視することが現実になってしまいました。
このような時に著者朴潤植牧師は自分の生涯をかけて研究し、信じて教えた聖書の御言葉を、人間的知識の目で見るだけではなく、三位一体の神を信じる信仰で解き明かし、父なる神がイエス・キリストによって人類を救おうとする救済史的摂理を見つけて、この救いの真理を今日私たちに伝えてくださいました。その著書に接した私たちは感謝感激で一杯です。
著者朴潤植牧師は旧約聖書、特にモーセ五書に関して、単なるヘブライ民族の歴史だけではなく、神が人類の救いのために一民族を選び、その民族を通して神ご自身の救いの摂理を人類に知らせ、人類が神の救いの御旨に立ち返るようにと働いておられる救済史として解き明かされました。
そして、この驚くべき贖いの御わざをこの時代の人々に知らせようとする熱情が本書の中に顕著に現れています。ですから、著者朴潤植牧師は族長たちの歴史だけでなく、選民の出エジプトの歴史においてもクリスチャンの救いの足跡を深い霊眼によって洞察なさったのだと思います。
この著書の特徴を見ると、著者朴潤植牧師はすべての内容をヘブライ語原文に即して、正確でかつ詳しく説き明かすことによって、神学的な深みを増してくれます。これは著者が長年の歳月をかけて、へブライ語原文に関心を持ってヘブライ語を研究し、関連する資料を整理する中で原文に即した聖書研究を持続してきた刻苦勉励の結実であることと思われます。
また著者朴潤植牧師は民数記33章に記録された通り、選民が滞留したエジプトでの足跡を表す地図を編み出しました。これはその間幾多の神学者たちさえも作り上げることのできなかった世界初の業績です。足ない私も神学生たちを指導するためにモーセ五書を研究しながら、イスラエルの民族がモーセに従ってエジプトを出立し、荒野での38年の間歩き続けた旅路について聖書地図を開いて調べてみました。しかし、イスラエルの民族がカデシ・バルネアに到着してから先あたりの旅路は五里霧中に陥ってしまいました。
ところが、著者の朴潤植牧師はずいぶん前からその地域を踏査しながら研究することで立派な出エジプトの地図を作成し、今日の私たちに確証を与えてくれました。私たちはその地図を見てひと目で見分けられるようになり、痛快さを禁ずることができないことはまことに感謝すべき事です。これは著者が信仰的執念で成し遂げた快挙であり、また聖書を神の啓示の御言葉であると確信し、聖書の無誤さを確証しようとする朴潤植牧師の執念の故であると考えられます。
著者朴潤植牧師の信仰の力作である本書を信仰者たちは、誰もが一読することによって自分の信仰を聖書に深く根ざしたものとするようになるでしょう。また聖書に関心のある方々は誰もが本著を精読することによって確信に満ちた不動の信仰に至るように祈ります。
ぜひとも著者朴潤植牧師が一生涯かけて蓄積した信仰的研究著作集が続いて出版されることを期待し、著者の健康を心より祝福いたします。
前 韓一長神大学 総長 姜澤鉉
現 全州紀全大学 学長