14代エベル-渡って来た者

2018.01.31 11:27

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 「エベル」は、「渡る」という意味を持つ、「アバル(rb'[;)」から由来した言葉です。この語源に基づいてエベルは、「渡ってきた者」、「向こう側」という意味になります。すなわちエベルという名前は、彼が後に罪の世からユフラテ川を渡り、信仰の道を歩む者となる事を暗示したものと言えます。

 「エベル」は、「ヘブル」とその語源が同じです。これは、ヘブル民族がエベルの子孫であるという事実と、ヘブル民族の先祖であるアブラハムが、エベルと同じ信仰の路線を辿ってユフラテ川を渡り、罪の地から分離して移住した事を反映する名前であると見る事が出来ます(創世記14:13)

 聖書はこのエベルについて、「セムはエベルのすべての子孫の先祖であって」という特別な表現をしています(10:21)。ジャン・カルヴァンはこの御言葉を、セムの系図の「特別な序論」と述べて、エベルの重要性を強調しています。

 また、セムの系図の人物を挙げる前に、セムの4代目であるエベルの名前を特記している事からも、聖書がエベルに大きな意味を置いている事が分かります。確かに、セムの子孫にはアルパクサデやシラもいますが、彼らを除いて、まるでセムがエベルの子孫だけの先祖であるかのように、系図の軸をエベルに置いて記録しています。この御言葉が意味するものは、まず、エベルの信仰の功績を高く評価して、それを大いに誇るとともに、セムの4代目の子孫エベルに注目させようとする意図が窺えます。またこの御言葉は、「エベルのすべての子孫が彼(セム)から生まれた」という意味で、エベル本人だけではなく、特に彼の子孫たちにも信仰的な価値を付与するといった意味が含まれています。

 「セムの神」(9:26)という表現は、その選択の範囲がセムの子孫の中でも特に「エベルの子孫」に限定されており、「エベルの子孫の神」と呼ばれています。このように、エベルはセム系列の中で信仰の先祖であるアブラハムに連なる最も重要な人物として浮上しています(11:10-27)

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