19.jpg

 神様の救済史の経綸の秘密は、名前を圧縮して核心的に要約した「系図」の中に含まれています。名前は、その人の人生の歩みを最も短く圧縮したもので、名前を解くことによって、その時代の歴史や神様の救いの働きが見えてきます。また、歴史を圧縮すれば名前となるのです。


1. 聖書は広大な「系図の本」です。
 新約聖書の中で系図を重要だとする理由は、女の末(創世記3:15)を通して救い主を送ろうとされる神様の救いの経綸が、系図の系統に従って成されていくためです。特に創世記は約2,300年間という非常に長い神様の救済史を、10個の系図の中に圧縮しています。
 ①天と地の系図(創2:4)、②アダムの子孫の系図(5:1)、③ノアの系図(6:9)、④ノアの息子たちの系図(10:1)、⑤セムの系図(11:10)、⑥テラの系図(11:27)、⑦イシュマエルの系図(25:12)、⑧イサクの系図(25:19)、⑨エサウの系図(36:1)、⑩ヤコブの系図(37:2)、この10個の系図は分離されたもののように見えますが、実際にはひとつの系図としてつながっており、10個の系図の主題が集まって創世記の本全体を成しているのです。

2. イエス・キリストの系図から3人の王が省略された理由は何でしょうか?
 神様はマタイによる福音書1章、ルカによる福音書3章に系図を記録することによって、アダムからキリストまで、ひとつの繋がった救済史を見せてくださっています。この系図は全3期に分けられますが、その中の第2期(マタイ1:6-11)にはダビデ王からバベロンによる南ユダの滅亡までの系図を記録しています。しかしマタイ1:8の『ヨラムはウジヤ(=アザリヤ)の父』という記録には、実際の歴史上の系図と比較する時、アハジヤ、ヨアシ、アマジヤの三人の王が抜けています(歴代上3:11-12)。王の系図上ではアタリヤまでの4人の王が省略されています。その理由はマタイによる福音書の系図が肉的な血統の流れではなく、救済史的経綸の中で神様の契約を受け継いでいく、純粋な信仰の血統を記録したものであるためです。同じようにイエス様の系図も出産の順序による肉的な血統の記録ではなく、神様の主権的な御業によって、契約の子孫だけを記録したものなのです。

3. イエス・キリストの系図から省略された王たちの特徴は何でしょうか?
 一つ目に、3人ともアハブ王の娘アタリヤと関係があります。二つ目、偶像崇拝をみだらに行いました。三つ目、皆自然死ではなく、第3者によって悲惨に殺されました。アタリヤは旦那であるヨラム王と息子のアハジヤ王が死ぬと、自らが王になるために、ダビデ王の種を滅ぼしました(列王下11:1)。しかし、ヨラムの娘アハジヤの姉エホシバが、1歳になったアハジヤの息子ヨアシを命がけで盗み出し、6年間隠し育てました(列王下11:2-3, 歴代下22:11-12)。ついにエホシバの旦那である祭司長エホヤダは、ダビデ王を尊敬している宗教指導者たちと図って、7歳になったヨアシ王子を王位に上げる革命的な働きを命をかけて果たしました(列王下11章, 歴代下23章)。このように、神様の御心、ご計画がすべて台無しになってしまいそうですが、ひとつの種を残され、再びその種を通して救済史を継いでいくのを見るとき、イエス様が来られる時まで旧約4000年間、数多くの紆余曲折があったという事実と、その間に隠された神様の焦る心、疼く心、切なる愛を見つけることができます。

結論:イエス様の系図第2期から省略された王たちは、その人生の最後が悲惨なものでした。これらは血統的には正しいアブラハムとダビデの子孫でしたが、悪い王たちの道をそのままついていってしまいました。今日、イエスを信じる私たちは列王の歴史を教訓として、ダビデとアブラハムの信仰を継承し、肉によるのではなくただ霊(信仰)によって生まれた神霊なアブラハムの子孫となりましょう。
XE Login